しかしこの「悩殺」、
なぜ官能的・性的なシチュエーションに限定されやすいのか

◆理由①:「殺」の持つ誇張表現が「官能」と相性が良かった
「殺」はもともと物理的に命を奪う意味を持ちますが、比喩的に使うと
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心を奪う
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正気を失わせる
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抵抗できないほど圧倒される
といったニュアンスになります。
この「圧倒的に抗えない魅力」という表現が、当時の広告や芸能の文脈で「官能的魅力」と結びつけられやすかったのです。
◆理由②:大衆文化とメディアが性的魅力と結びつけて定着させた
大正〜昭和初期の頃、映画・宝塚・ストリップ・雑誌などの世界では
「女性の色気」や「男性を惑わす魅力」を表現する言葉が求められており、
「悩殺ポーズ」「悩殺スマイル」「悩殺美人」といった形で、
美貌や色気によって相手をメロメロにさせる文脈で定着していきました。
つまり、「悩殺=色気の表現」というイメージがメディアによって固定化されたのです。
◆理由③:他のジャンルでは「悩殺」が不自然になりやすい
たとえば「悩殺ラーメン」「悩殺セール」という表現も面白くはありますが、
「心を乱して殺されるほど魅了された」という文脈が味覚・価格・機能性などとはやや結びつきにくいため、
自然な表現として定着しづらかったと考えられます。
「悩殺=官能的」の背景には、言葉自体の誇張性と、
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