夜の静寂を切り裂くかのように、僕の手の中で小さな機械が震えている。静かな部屋に響くブゥゥンという低音の振動が、心臓の鼓動とシンクロしているかのようだ。
この子に出会ったのは、偶然のようで必然だったのかもしれない。日々の疲れを癒すものを求め、ネットを彷徨っていたとき、ふと目に留まったレビュー。「この振動、一度味わったら戻れません」「強すぎて笑ってしまうレベル」「手が痺れる、いや、魂が痺れる」──そんな言葉の数々が、僕の好奇心を強く刺激した。
手に入れるまでの時間がもどかしかった。届いた瞬間、段ボールを破る勢いで開封し、そのボディを撫でる。思ったよりもコンパクトで、手に馴染むフォルム。ボタンを押すと、低い唸り声のような音とともに、震えが伝わってきた。
そして今、その実力を試すときがきた。
指先でモードを切り替える。最初は穏やかな揺れ。心地いい。しかし、こんなものでは僕は満足できない。指を滑らせ、最強モードへ。
「うおっ……!」
全身に電撃が走る。まるで雷に撃たれたかのような衝撃。これは……ただの振動ではない、まさしく魂を揺さぶる激震だ。手に持っているだけで、肘から先が支配される感覚。腕が震え、手のひらから伝わる波動が全身を駆け巡る。
僕は力なくベッドに沈み込み、ただ震える機械を見つめる。気づけば、心の奥底まで揺さぶられ、息が上がっている。これはもう道具ではない、僕の人生に欠かせない相棒だ。
──そう、僕を昇天させてくれる唯一無二の存在。
今夜もまた、僕はこの子の振動に身を委ねる。
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